SHINAGAWA TECHNICAL REPORT 品川技報

No. 51 (2008) 第51号 (2008年)

品川技報

目次

  • ・巻頭言
  • ・特別寄稿
  • ・報文
  • ・製品及び実績の紹介
  • ・関係会社製品紹介

巻頭言

所感

専務取締役 清水 芳彦

特別寄稿

加古川1RHにおける下部槽寿命の改善

(株)神戸製鋼所 上山泰一,岡田英也
神鋼鋼線工業(株) 前田眞一
品川白煉瓦(株) 内田茂樹,小宅民淳,佐川純一

<要約>
加古川製鉄所では薄板ハイテン材に代表される高級鋼の増加に対応すべく、No.3RH設備を新設した(2004年11月)。既存のNo.1RHにおいては、このNo.3RHの稼動に伴うch/Dなどの操業変化が生じたのに加え、長時間処理の必要な高級鋼比率の増加により耐火物への負荷が増大した。こうした環境変化の中で、下部槽槽底の損傷増加、環流管煉瓦の異常損傷により、突発的に停炉するトラブルが頻発し、下部槽寿命が大幅に低下した。これらの課題に対して、補修方法の改善、耐火物材質の適正化、また下部槽鉄皮の変形管理について取り組んだ結果、上記部位の損傷を抑え、突発トラブルの低減を図ることができた。本報では、これら耐火物トラブルの改善状況について、現在進めている構造解析の途中経過を加え報告する。

モーグル型浸漬ノズルの使用によるFlorange製鉄所の鋼品質の向上

ArcelorMittal Pierre COLUCCI,Maurice HALLOUCHERIE,Frederic LECLERCQ
Sidermin SA Dominique VERRELLE,Claude SCHILTZ
品川白煉瓦(株) 飯田栄司,中村 真

<要約>
鋼の連続鋳造において、浸漬ノズルの形状は鋼品質と操業の安定性に大きく影響する。モールド内での流動状態を最適化するために、品川白煉瓦では内管に多数の球状突起を設けたモーグル型浸漬ノズルを2002年に開発した。アルセロール・ミタルグループのFlorange製鉄所(フランス)では、ヨーロッパで初めてモーグル型浸漬ノズルをテストした。モーグル型ノズルの使用によって、ブリスター疵とスリバー疵に関する鋼品質の向上と、極低炭素鋼であるIF鋼の鋳造性の向上が得られた。

報文

転炉補修用吹付材の開発

小松原清行、佐々木久晴、小山孝昭

<要約>
カーボンボンド吹付材におけるバインダーとして、軟化点の異なるピッチ、また分子量の異なるフェノール樹脂の添加量の検討を行った結果、接着強度、接着率、硬化時間において最も良好な組成を見出し、その結果を基にした開発品を実炉に適用し、高接着性であり、かつ高耐用であることを確認した。

短時間施工対応型樋材の開発

飯田貴志、榎木清隆、北村匡譜、影山達也

<要約>
高炉鋳床用流し込み材の施工において、施工の省力化、施工の短時間化は重要な課題のひとつである。今回の検討で我々は、混練作業の省略と硬化時間の短縮効果によって、一般的な粉末材料を使用した場合と比較して施工時間を3分の2に短縮することが可能な自硬性ミキサーレス材を開発した。

高炉羽口用大型ブロックの開発

北村匡譜、榎木清隆、森安英之、那須洋一

<要約>
従来の煉瓦製造方法ではユーザーが要求する大型形状を製造することが技術的に困難な状況になりつつあった。今回、そのようなユーザーの要求を高レベルで満足することを目的に、加圧振動成形のプレキャストブロックの技術を応用することによって、従来煉瓦と同等以上の特性を具備し、複雑形状にも対応、大きさは従来れんが重量比で約6倍程度まで対応できる大型羽口用ブロックを新たに開発、およびその製法を確立した。この大型羽口ブロックを適用することによって、羽口用耐火物の一体構造化が可能となり、築炉期間の短縮、構造的安定性の改善に伴う耐用性の向上など、得られるメリットは非常に大きいものであると考える。

低カーボン質MgO-C質れんがにおけるピッチ添加効果と耐スポーリング性の改善」

柿原昌佳、多田秀徳、飯田栄司

<要約>
MgO-Cれんがは転炉、RH、電気炉に使用されているが、その使用目的によっては、耐用性および環境的な問題を解決するため含有するカーボン量の削減が必要となる場合がある。しかしながら、含有するカーボン量の削減は耐スポーリング性の低下を引き起こす。本研究ではこの問題を解決するため、新規ピッチの基礎的特性について調査を実施し、新規ピッチのMgO-Cれんがへの添加効果と耐スポーリング性の改善について検討を行った。その結果、新規ピッチを適用したRH用低カーボン質MgO-Cれんがを開発した。本報告では、新規ピッチの基本的特性調査およびに低カーボン質MgO-Cれんがへの新規ピッチの添加による耐スポーリング性の改善について紹介する。

製品及び実績の紹介

転炉出鋼口スリーブ周囲補修材

難波 誠、佐々木久晴、小松原清行

<要約>
転炉出鋼口スリーブ交換時の熱間補修方法は、燐酸ボンド吹付け材を過剰の水で流し込むことにより隙間を充填する方法が一般的である。しかし、燐酸ボンド吹付け材は耐用が悪く、また、高温の炉前に立って吹付け施工する必要がある。一方、ピッチ系焼付け材は耐用が良く、施工も投入するだけであるが硬化時間が長いことが課題であった。今回、速硬性焼付け材を用いることで硬化時間を従来よりも40%短縮することに成功し30分で施工可能となった。30分の焼付け時間が確保できれば速硬性焼付け材を用いることで耐用向上、施工作業負荷低減、スリーブ解体時間の短縮(地金進入抑制)、作業効率の向上(焼付け中は別作業ができる)を図ることができる。

高速乾燥型RH炉浸漬管用熱間吹付材

多田秀徳,冨谷尚士,吉田昌弘

<要約>
RH炉浸漬管の熱間補修方法としては吹付け施工が一般的であるが、施工時に水抜けが遅いと、施工体にポッピングが起こりやすい。また、施工体が十分に乾燥されない状態で使用される場合があり、耐用不良の要因になっている。本報告では、施工後の自然乾燥が非常に速い熱間補修用吹付材について報告する。本製品はすでに実機テストを開始しており、乾燥の早さと良好な耐用性を確認している。

取鍋用不焼成Al2O3-MgOれんが“ALTIMA”の使用結果

冨谷尚士、多田秀徳、飯田栄司

<要約>
従来取鍋メタルライン部には高アルミナれんがやカーボン含有系耐火物が使用されているが、耐食性や熱ロスなどの問題を有している。またAl2O3-MgO質などのキャスタブルライニングは、耐食性、熱ロスの点では優れているが、施工用の設備や型枠が必要であり、爆裂防止の観点から慎重な乾燥,昇温が必要である。これらの問題を解決すべく、当社はAl2O3-MgO質キャスタブルの優れた特性を具備した不焼成Al2O3-MgO質れんが“ALTIMA”を開発した。本報告ではALTIMAの特性についてまとめるとともに、実炉での試験結果が得られたので報告する。

中厚スラブ連鋳機用モールドパウダーの開発

尾本智昭、岩本行正、伊藤純哉、鈴木貴之、Jim GILMORE、何 波

<要約>
現在、鋼板用ニアネットシェイプ連続鋳造設備の進歩はめざましく、中厚スラブ(100-150mm)連鋳機は北米、欧州および中国で多く稼動している。しかしながらモールドパウダーにおいては操業条件の特徴から鋳片割れ、拘束性ブレークアウト(BO)、モールド熱電対温度異常および溶融異常などの特有の課題がある。我々はその特有の課題を解決するべく高粘度で優れた溶融特性を有する新しいモールドパウダーを開発した。

コテ塗り・吹き付け両用補修材

宮脇利明、佐々木久晴、高倉雄一

<要約>
アルミナ・マグネシア質のコテ塗り・吹き付け兼用タイプの冷間補修材について紹介する。本補修材は、コテ塗り施工と吹き付け施工が同じ材料で対応できる新しい補修材である。施工量が少ない場合にはコテ塗り補修を行い、施工量が多い場合には吹き付け施工を行うことが可能であり現場状況に合わせた施工が選択できる。本補修材は、耐用、施工性など各所で高い評価を受けている。LF取鍋のメタルラインでは50mm程度の施工厚みで30ch使用後も残存が見られることが確認できている。本補修材の施工によってネック部位の寿命コントロールも可能となり、他の部位とのバランスもとることができ、原単価低減を図ることができる。

浸漬ノズル迅速交換システムの開発

山本堅二、長田基嗣

<要約>
連続鋳造に使用される浸漬ノズル迅速交換システムにおいて、良好なシール性を確保し、保守管理が容易で構造がシンプルな装置を開発した。

関係会社製品紹介

品川ファインセラミックス株式会社「α-サイアロンセラミックスローラー」

吉川正博、一森照光、牧谷 敦

<要約>
近年、電子産業分野などでは、クリーンルーム内での発塵防止対策として、従来の金属材料部品に代わってセラミックス材料を使用するようになってきた。当社のα-サイアロンセラミックスは、α型サイアロンとβ型窒化ケイ素の複合組織を有する独自の緻密質セラミックスであり、耐摩耗性と転がり疲れ特性に優れる。このことから、発塵防止を目的とするセラミックス駆動部品としても好評を博している。

株式会社セラテクノ「連続混練機の活用による高炉樋用キャスタブルの施工時間短縮」

谷川正一、角村尚紀

<要約>
高炉主樋キャスタブルの熱間施工に連続混練機を適用することによって施工時間を従来の3分の2に短縮することができた。耐用についても従来と同等以上の結果が得られた。

イソライト工業株式会社「ファイバー質キャスタブル -Fキャスト-」

中島幸次、林 和宏

<要約>
セラミックファイバーと耐火粉末により構成される、ユニークな特徴をもった軽量キャスタブルを開発商品化した。本報告ではその特徴や使用事例について紹介する。

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