SHINAGAWA TECHNICAL REPORT 品川技報

No. 53 (2010) 第53号 (2010年)

品川技報

目次

  • ・巻頭言
  • ・特別寄稿
  • ・報文
  • ・製品及び実績の紹介
  • ・関係会社製品紹介

巻頭言

所感

取締役会長 西尾 英昭

特別寄稿

合同製鐵(株)姫路製造所におけるブルーム鋳片品質の向上

合同製鐵株式会社蔵迫誠志郎,阿南 努,吉澤健司,多村 理
品川リフラクトリーズ株式会社小形昌徳,松長隆行

<要約>
ブルーム鋳片の表面割れ防止のために,モールド面と凝固鋳片との間のエアーギャップの解消と,モールド内の偏流防止に取り組んだ。ブルーム鋳片の凝固収縮計算に基づいて,エアーギャップを減らすようにモールドテーパーを修正した。モールド内の溶鋼流動は水モデルで検討し,内管モーグル構造の浸漬ノズルへ改良した。両対策を実施した結果,鋳片割れは当初の約10分の1に減少した。これは鋳片の均一な凝固が実現されたためと考えられる。

報文

混銑車に適用したECONOSライニングの熱収支

内田茂樹

<要約>
混銑車の熱収支を非定常伝熱解析を行って検討した。混銑車内に滞留している間に消費される溶銑熱量の40%以上がウェアーライニングに蓄熱され、ウェアーライニングへの蓄熱量抑制は重要な対策である。当社が開発したECONOS系れんがは、ウェアーライニングへの蓄熱量抑制に効果を発揮し、それが溶銑温度低下抑制に直接連動していることがわかった。一方、パーマに断熱材を配材した場合は、鉄皮からの放熱量抑制に直接効果を発揮し、溶銑温度低下抑制には間接的に働いた。溶銑温度低下をもっとも効果的に抑制するには、ECONOSとパーマ断熱材の特性と寸法比率を最適化して組み合わせることが重要である。本解析法はそのような設計の最適化に役に立っている。

急乾燥がキャスタブルの諸特性に与える影響

難波 誠,佐々木久晴,西村雅史

<要約>
不定形耐火物は,各所,各用途にて広く使用されているが,良好な施工体を得るためには,適度な養生,乾燥条件が必要である。急乾燥を行った場合,最悪のケースでは施工体が爆裂を起こしてしまうが,爆裂に至らない場合でも内部に高圧の水蒸気が発生するために微亀裂を発生させるなど施工体組織に変化をもたらしている可能性は十分に考えられる。
本検討では爆裂試験の結果から急乾燥条件を設定し、急乾燥状態のサンプルを作成した。それらサンプルを用いて品質、物性、耐食性について比較,検討を行い,急乾燥が施工体の諸特性に与える影響について調査した。

高炉出銑中におけるメタル/スラグ排出速度の数値解析

飯田正和,小倉一寛

<要約>
高炉出銑中におけるメタル/スラグ排出速度変化を解析するために,出銑孔円筒とコークス充填層の圧力損失を計算する数学モデルが提案されている。計算結果は実高炉の排出速度変化と出銑時間の変動をよく再現した。その結果,出銑時間は出銑孔径拡大のみでなく,コークス消費の影響も受けることが示された。

Na,Kが関与する耐火材料の腐食

井上一浩,内田茂樹

<要約>
リサイクルエネルギーとして活用が期待されるバイオマス廃棄物に含まれるNa,K成分と各種耐火材料との反応性を1200℃に設定したタンマン炉を用いて調べた。また、一例として実際の焼却灰を用いた1300℃での加速実験も行い、耐火材料選定の指針を得ることができた。

製品及び実績の紹介

高耐用軽量Al2O3-MgO-Cれんが(CALEAD)

吉田昌弘,冨谷尚士

<要約>
従来、取鍋メタルライン部にはAl2O3-MgO-Cれんがが広く使用されている。今回、従来のAl2O3-MgO-Cれんがの特性を損なうことなく、熱伝導率とかさ比重を約10%低減した高耐用軽量Al2O3-MgO-Cれんが「CALEAD」を開発した。本報ではその特性について報告する。

極低カーボン質MgO-Cれんが

吉田昌弘,冨谷尚士

<要約>
極低炭素鋼等の厳格材の溶精に用いられる取鍋ではMg-Crれんがやドロマイトれんがなどのノンカーボン系材質が用いられているが,これらはスラグ浸潤に伴うスポーリング損傷が大きいという欠点がある。本報では耐浸潤性と耐スポーリング性に優れ,溶鋼へのカーボンピックアップの少ない極低カーボン質MgO-Cれんがについて紹介する。

急速乾燥可能な高炉樋用流し込み材

影山達也,北村匡譜,槇原 崇

<要約>
シリカゾルをバインダーとして用いた高炉樋用キャスタブルは、急加熱時に発生する内部蒸気圧が極めて小さいため、耐爆裂性に優れており、従来の低セメント系キャスタブルと比較しておよそ3分の2程度の時間で乾燥可能であった。耐食性も低セメント系キャスタブルと同等以上であり、樋修理期間の短縮に寄与する材料として活用が期待される。

高カーボン樋用流し込み材

北村匡譜,飯田貴志,新谷悠記

<要約>
より高性能な樋材の開発を目的に検討を重ねた結果,カーボンブラックの添加量が多いほど耐食性が向上することがわかった。しかし,カーボンブラックを単一で多量添加した場合,耐食性以外の特性に問題が生じた。一方でカーボンブラックを組み合わせることによって,それらの問題を解消することができた。実炉で使用した結果,損耗速度を大幅に低減し,亀裂・剥離が抑制される効果も認められた。

超高温施工対応型カーボンボンド吹付け材

佐々木久晴,小松原清行、小山孝昭

<要約>
従来のカーボンボンド吹付材は1300℃を越えるような高温域では付着しにくい。そのため,過剰な水添加をして補修面温度を下げなければならなかった。本開発品は付着助剤(新技術)を活用することにより,1300℃を超える高温域での付着性を大幅に改善し,補修効果を高めたカーボンボンド吹付材である。

取鍋精錬用スリットプラグの開発

石原英治,佐々木王明

<要約>
LF・VODなどの2次精錬プロセスにおいては,取鍋の炉底に設置されたガス吹きプラグから溶鋼内にアルゴンガスなどの不活性ガスを吹き込み,溶鋼や精錬剤を攪拌することが広く行われている。 本報告では,取鍋精錬用ガス吹きプラグとして,耐用性に優れ,必要なガス流量が容易に確保できる,新しいスリット構造を持ったスリットプラグ“NSP”を開発したので,その特徴ならびに実炉での適用結果について報告する。

発熱型顆粒タイプモールドパウダー

岩本行正,鈴木貴之,何 波

<要約>
連続鋳造において、鋼の品質向上のためにはモールドパウダーの保温性を向上させる必要があるが、顆粒タイプは保温性が悪い欠点がある。一方で作業環境面からは顆粒タイプが望まれていることから、顆粒タイプに金属を添加して発熱性を付与させた発熱型顆粒タイプモールドパウダーを開発した。顆粒に金属を添加する方法を確立したことで、発熱性が向上し、実機鋳造結果でもコイル品質が向上し、常用化を達成した。

関係会社製品紹介

帝国窯業株式会社 機能性塗料「黒鉛電極用酸化防止剤と溶鋼付着防止剤」

井神和生

<要約>
黒鉛電極用酸化防止剤:黒鉛電極の表面酸化を抑える酸化防止剤を開発した。スプレーガンで電極に塗布することにより、ユーザーの電極原単位低減に対して優れた性能を発揮する。 溶鋼付着防止剤:耐火物表面に塗布することにより溶鋼の付着を抑える塗布剤を開発した。地金の付着成長等の防止効果が期待できる。

遼寧品川和豊冶金材料有限公司 “Always Creating The Next”

尾本智昭

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