SHINAGAWA TECHNICAL REPORT 品川技報

No. 54 (2011) 第54号 (2011年)

品川技報

目次

  • ・巻頭言
  • ・特別寄稿
  • ・報文
  • ・製品及び実績の紹介
  • ・関係会社製品紹介

巻頭言

品川技報から見た技術の変遷

取締役 常務執行役員 窪田 行利

特別寄稿

チサキ・バーティカルキルンの開発

株式会社チサキ地崎 達、國井大蔵
品川リフラクトリーズ株式会社大西桂二、松原健一

<要約>
新型式の石灰炉が㈱チサキとHyundai Rotem社の協力のもとに開発され、現代製鐵唐津製鐡所に建設された。(500tpd)
はじめに本炉開発の経緯と特徴が述べられ、次いで本炉の構成要素の概要が説明されている。操作実績例と理論的予測値との比較が行われ、耐火物に対する検討が示されている。

報文

樋メタルライン用キャスタブルの劣化に及ぼす使用条件の影響

安尾幸祐、北村匡譜、飯田貴志

<要約>
高炉主樋メタルライン用キャスタブルの長期使用時の特性変化について、実炉使用後試料の解析とラボにおける再現試験の二通りの方法により調査し、劣化の生じる要因および劣化の内容について検討した。実炉使用後試料の解析結果より、ML材中のSiCは使用期間と加熱冷却回数の影響を受けて減少し、使用期間が長いほど、加熱冷却回数が多いほどSiC残存量が少なくなる傾向が認められ、この傾向はスピネル含有材質において特に顕著であった。実炉使用後試料において認められたこのような組成変化は、1500℃-3h×15回の繰り返し加熱冷却によってほぼ再現でき、このとき耐食性はほとんど変化しなかったが、気孔率の増加、強度の低下が認められた。

高炉の出銑量が主樋の損耗速度に与える影響

飯田正和、鈴木建司

<要約>
高炉主樋の損耗速度変化について、物質移動モデルを用いて出銑量の観点からの解析を行った。このモデルにおいて出銑量の変化はスラグ流速の変化として取り扱った。本モデルによる計算結果は実測値とよく一致した。これより、本モデルによって予測される損耗速度を用いることで、高炉の出銑計画の変更に対応した樋修理工程の見直しを高い精度で行えるようになることが示された。

るつぼ法浸食試験を用いた高炉樋スラグライン材の耐食性の定量的評価

飯田正和

<要約>
高炉主樋スラグライン(SL)材の耐食性を定量的に記述するために、SL材で作成したるつぼに高炉スラグを入れた試料を温度と時間を変えて焼成、焼成後のスラグ組成を分析した。分析値はFickの法則にもとづいてプロットし、それぞれの温度における物質移動係数(k)を求めた。得られたkは試料の耐食性を示しており、物理的に意味のあるms-1という単位を伴っている。加えて、kの活性化エネルギーも評価した。

取鍋用流し込み材の軽量化についての検討

難波 誠、佐々木久晴、西村雅史

<要約>
耐火物中への抜熱抑制を目的に、取鍋内張り材の軽量化、低熱伝導化に向けて検討を行った。軽量化の手法として、アルミナ・マグネシア質流し込み材に中空アルミナ骨材を用いた。アルミナ・マグネシア質キャスタブルへの中空アルミナ適用を検討するにあたり、予想される問題点の確認を行うと共に、適当な添加量、添加粒度を求めた。その後実機取鍋モデルを想定し、熱ロス低減の効果を検証した。

炭素含有れんがの荷重下膨張特性

柿原昌佳, 諏訪毅, 多田秀徳

<要約>
荷重下膨張率は, 所定の荷重を試料に与えた状態で昇温し膨張率を測定する方法であり, 実炉拘束条件下における耐火物の容積安定性や発生応力の目安として測定される事がある。 本報告では, 測定方法の改良により, 各種炭素含有れんがの高温域における弾性変形量と塑性変形量を推定し, 実炉損傷との関係性について考察を行った。

製品及び実績の紹介

地球温暖化防止のための耐火物

前田榮造

<要約>
CO2排出量削減のための熱ロス低減には、各種窯炉用耐火物の断熱と軽量化が有効であり、当社グループの関連技術を紹介する。従来技術では、背面断熱によってワークライニングの寿命が低下するなどの問題があった。それに対し、熱ロス低減と耐用性の維持向上を両立させるため、「ワークライニングの低熱伝導化・軽量化」を提案している。定形煉瓦ではECONOS、CALEAD、ALTIMAがあり、実機使用では耐用性を落とさずに鉄皮温度を数十℃低下させたなどの実績例がある。不定形では断熱キャスタブルLN-150があり、取鍋蓋材として使用することで約2倍の耐用性を示した。また、従来技術である断熱材、炉体診断についても紹介する。

高温用高性能断熱キャスタブル

西村雅史、佐々木久晴

<要約>
本報告では特殊軽量骨材を使用したLN-150(高強度)とLA-150-2(低かさ比重,低熱伝導率)の2材質を紹介する。LN-150は、従来断熱材と同等の熱伝導率を維持しつつ汎用キャスタブルに匹敵する強度を有している。一方、LA-150-2は、従来断熱材と同等の強度を維持しつつ、軽量化を図り、より高い断熱性を実現している。

観察装置付き高炉シャフト自動吹付機

笹井洋一、奥原潤一郎、小橋尭文

<要約>
高炉シャフト吹付け補修において、吹付け補修前の炉内損傷状況を把握することは、炉の補修計画を立案する大きな判断材料となると共に、吹付け後の状況記録により補修の適切性も評価することが可能となる。そこで当社では、炉内全周を観察することが出来る観察装置付き高炉シャフト自動吹付機の開発を行い、従前の目視確認よりも詳細な炉内状況把握が行えるようになったので紹介する。

取鍋精錬用ポーラスプラグ

石原英治

<要約>
LFなどの2次精錬プロセスにおいては、溶鋼成分や温度の均一化を目的に取鍋に装着したポーラスプラグから、溶鋼内にガスを吹き込み、攪拌が行われる。本報告では、弊社ポーラスプラグ「ALPシリーズ」・「HSPシリーズ」の特長と、ポーラスプラグの損傷の主要因である酸素洗浄時の耐溶損性を酸素ランス吹き込み試験により評価し、材質改善を行った結果について紹介する。

不焼成SVプレートの開発

川崎康司、足立真司

<要約>
特殊な操業や鋼種等の条件下で使用される場合、一般的な焼成SVプレート材質では十分な耐用が得られないことがある。そこで金属Alを多量に活用した不焼成SVプレート材質を新たに開発した。本開発品は実機で高耐用が得られており、安定して使用されている。

モールドパウダー製品ラインナップ

岩本行正

<要約>
連続鋳造における溶鋼の保温、潤滑、抜熱制御などの役割を果たすモールドパウダーは、鋳造条件により様々な機能を求められる。本報では、当社が多くの鋳造条件に対し、開発してきた代表的、特徴的なモールドパウダーについて紹介する。

中国製ドロマイトれんが

杉山浩

<要約>
2009年6月にドロマイトれんがの自主生産を中止して、中国品への移管を実施。ここに中国製品紹介の報告をする。

関係会社製品紹介

イソライト工業株式会社 「フォームフラックスR断熱材の工業炉への適用」

中島幸次、林和宏

<要約>
イソライトは米国ユニフラックス社が販売しているフォームフラックスという高温断熱用吹付け繊維材料の販売を日本でも2006年より開始した。フォームフラックスは燃料節約の有効性と更に従来材料より速い施工スピード、アンカリング無しのベニアリングとステンレスアンカーを併用する全厚両方への高い柔軟な適用性、従来吹付け材料より繊維飛散性とリバウンドロスが低い、他の混水材料より長期保管ができるなどの利点を持っている。

帝国窯業株式会社 「最近の無機塗料・無機接着剤製品紹介」

井神和生

<要約>
弊社の製無機塗料・無機接着剤製品の概要と特徴をまとめて紹介する。ここに紹介した以外の用途を含む各方面のユーザーのニーズにこたえる一助となることを期待したい。

日本ロータリーノズル株式会社 「渦流式連鋳モールド湯面計(ECLM)」

新井学、尾坂力、中田正之

<要約>
連続鋳造のモールド内湯面レベル制御において最も重要な役割を担うセンサーとして、高精度で応答性に優れた渦流式モールド湯面計(ECLM)を採用することにより、連鋳操業と鋳片品質の安定、鋳片品質管理レベルの向上、耐火物の耐用改善という効果が得られている。このECLMの優秀性は広く認められており、現在300を超える世界中の連鋳機で使用されている。

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