SHINAGAWA TECHNICAL REPORT 品川技報

No. 55 (2012) 第55号 (2012年)

品川技報

目次

  • ・巻頭言
  • ・特別寄稿
  • ・報文
  • ・製品及び実績の紹介
  • ・関係会社製品紹介

巻頭言

所感

取締役 常務執行役員 倉科 幸信

報文

溶鋼反応型アルミナ付着防止材の開発

鈴木遼平、林 煒(火へんに韋)、小形昌徳

<要約>
溶鋼と濡れやすい液相を伴う組織を生成させることでアルミナ付着を防止する浸漬ノズル内管材を開発することを目的に、アルミナ・シリカ質およびスピネル質耐火物を溶鋼浸漬実験に供した。アルミナ・シリカ質耐火物は溶鋼からのMnの浸透によって稼動面に液相が生じたが、耐火物のシリカ含有量や溶鋼のMn濃度によってその様子は異なっていた。フラックスとしてMgO、CaOおよびSiO2を添加したスピネル質耐火物は溶鋼成分との反応が生じることなく、受熱によって液相を伴う組織を形成した。今回開発したこれら耐火物を浸漬ノズル内管材として用いることでノズル内管へのアルミナ付着量は大幅に低減した。

内管ノンカーボン材による高耐スポーリング性ロングノズル、浸漬ノズルの開発

鈴木遼平、林 煒(火へんに韋)、小形昌徳

<要約>
ロングノズルや浸漬ノズルは主にアルミナ・黒鉛質材料で構成され、最近はノンカーボン材料も内管に使用されている。内管ノンカーボン材は清浄鋼を鋳造するうえで優れた特性をもつが、熱膨張率が高いために熱スポーリングが課題となる。熱伝導率が低いノンカーボン材は熱衝撃を緩和する断熱層として働くため、熱膨張率が抑えられればロングノズルや浸漬ノズルの耐スポーリング性を高めることが期待できる。様々な材料を試験した結果、熱膨張率の低いノンカーボン材を開発した。内管材の熱膨張率と熱伝導率がロングノズルの熱応力に及ぼす影響はFEM計算で評価した。内管ノンカーボン材のないロングノズルに比べて、通常のノンカーボン材では熱応力が増加したが、低熱膨張型ノンカーボン材で首部の熱応力が大きく減少した。これはノンカーボン材が断熱層として働くことで、肉厚が変わる首部における発生応力を効果的に抑えるためである。

浸漬ノズルZrO2-C材の溶損速度に及ぼすモールドパウダー特性の影響

今岡卓也、岩本行正

<要約>
鋼の連続鋳造に用いる浸漬ノズルの耐用性はスラグライン部のZrO2-C材の溶損によって制約される。そこでZrO2の溶解速度と脱安定化現象に及ぼすモールドパウダー組成の影響を調査した。モールドパウダー中のアルカリ、アルカリ土類金属酸化物の増量はZrO2の溶解を促進するが、脱安定化現象には影響しなかった。SiO2とFの減量はZrO2粒の脱安定化を抑制し、実機でもZrO2-C材の溶損速度が低減した。

マッド材の接着性に関する研究

新谷悠記、北村匡譜、梶谷昭仁

<要約>
高炉出銑孔で使用されるマッド材には様々な特性が要求されている。その中でマッド材同士の接着性は重要な特性のひとつと考えられ、多くの調査・検討が行われている。本報では実炉での出銑孔内の状況を加味したうえで、マッド材同士の接着にスラグが関与した場合の常温、熱間接着強度を測定した。実験結果から、マッド材同士の接着強さは材質、試験条件によって変化したが、概ね、熱間接着強さは冷間接着強さより低い場合が多かった。また、1500℃における熱間接着強さは各種条件下でゼロとなった。本報における実炉で新旧マッド材の接着性が良好な材質は、アルミナリッチ配合にピッチを添加した材質であると考えられた。

製品及び実績の紹介

電気炉出鋼口用スライドバルブ装置

高田敦、山本堅二、佐伯恒信、梶村光弘

<要約>
スラグカットを目的とした電気炉出鋼口用スライドバルブ装置の開発を行い、樋出鋼方式および炉底出鋼方式の電気炉において実用化した。

電気炉用高性能羽口 -コンビネーション羽口-

今井忍、高井政道

<要約>
鋼用電気炉において、溶鋼を攪拌するための底吹き羽口は、スクラップの溶解促進、溶鋼成分の均一化、溶鋼温度の均一化あるいは製鋼工程の時間を短縮するために重要な役割を果たす。本報告では、羽口耐火物の品質または長さを変えることなく、羽口の耐用を向上させることができる新しいガス供給構造を持った底吹き羽口を開発したので、その特徴ならびに実炉での状況について報告する。

再使用可能な取鍋用スライドプレート (エコプレート)

森井浩明、南晴彦、足立真司

<要約>
使用後れんがの廃棄物量削減、ならびに顧客の耐火物コスト低減を目的に再使用可能な取鍋用スライドプレート(通称 エコプレート)を開発した。エコプレートは孔部周辺に挿入された小型プレートを交換することにより複数回の再使用が可能で、再々使用品であっても通常プレートと同等の耐用を示した。

BlueScope Steelにおける段差型ノンカーボン質浸漬ノズルのアルミナ閉塞防止効果

新妻宏泰、小形昌徳、Ian Mclennan、Paul Cassar、Mark Camplin

<要約>
BlueScope Steel, Port Kembla製鉄所のNo.2, 3スラブ連鋳機において、モールド内溶鋼流動パターンの改善と閉塞対策は重要なテーマであった。ガス吹き上ノズルをポーラス・タイプへ変更してガス吹き状況を安定化させ、同連鋳機の鋳造条件に合わせて設計した内管にノンカーボン材を配置した段差型ノズルを使用することで顕著な閉塞防止効果が認められた。ノズル閉塞が抑制された安定した鋳造を実現するためには、Arガス吹き方式、ノズルの構造、ノズルの材質の3つの点で相乗効果を発揮させることが重要である。

高機能性取鍋用れんが

冨谷尚士、滝澤倫顕、吉田昌弘

<要約>
鋼を製造する工程において各種の取鍋が広く使用されている。取鍋用耐火物には耐用面での要求に加え、近年では鋼品質向上や省エネルギー、作業環境負荷軽減等への貢献が求められるようになっている。本報告では取鍋用れんがの課題ならびにそれに対応した高機能性取鍋用れんがについて紹介する。

高性能転炉補修用不定形耐火物

小松原清行、佐々木久晴、小山孝昭

<要約>
転炉補修用不定形耐火物として、当社では硬化時間を大幅に短縮した高性能な超速硬性焼付け材、排滓直後の1300℃を越える高温域でも付着する超高温施工対応型カーボンボンド吹付け材を開発し展開中である。

釉薬パネル設置コークス炉々蓋ブロック

釉薬パネル設置コークス炉々蓋ブロック

<要約>
転炉補修用不定形耐火物として、当社では硬化時間を大幅に短縮した高性能な超速硬性焼付け材、排滓直後の1300℃を越える高温域でも付着する超高温施工対応型カーボンボンド吹付け材を開発し展開中である。

関係会社製品紹介

品川ファインセラミックス株式会社 「ハイシリカセラミックスの特徴とその応用」

牧谷敦、喜田良和、吉川正博

<要約>
当社のハイシリカセラミックスは、高純度シリカ粉末を焼結した材料である。耐薬品性や耐熱衝撃性に優れるとともに、石英と比較して耐衝撃性や形状の自由度において優れている。現在、本セラミックスの特徴を活かし、様々な分野への活用を提案している。

イソライト工業株式会社 「アルミ溶湯用耐火断熱材」

鈴木秀尚、鈴木誉道、上道健太郎

<要約>
イソライト工業では、アルミニウム溶湯に直接接触する用途に使用可能なアルミニウム溶湯用耐火断熱材『ALF』シリーズを取り扱っている。ALFシリーズには、ALF(一般品)、ALF-H(強度向上品)、ALF-S(剥離性向上品)の3種類があり、お客様の使用状況に応じ、適切なものを選択していただける商品構成である。本稿は、そのALFシリーズの特長と、構成する製品の品質の差について解説するものである。

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