SHINAGAWA TECHNICAL REPORT 品川技報

No. 65 (2022) 第65号 (2022年)

品川技報

目次

  • ・巻頭言
  • ・レビュー
  • ・報文
  • ・製品紹介

巻頭言

持続可能な社会の実現に向けての耐火物メーカーとユーザーの連携

取締役常務執行役員  生産部門,技術研究所,技術部担当  小形昌徳

レビュー

品川モールドパウダー50年の歩み~ Something New ~

伊藤純哉

<要約>
当社は1971年から鋼の連続鋳造用モールドパウダーの開発に取り組み,2021年に50周年の節目の年を迎えた。その間,連続鋳造技術の発展と共に,モールドパウダーの技術も発展し,当社は独自性のある高品質な製品を数多く市場に提供してきた。現在では日本国内,国外の多くの製鉄 所で好評に使用して頂いている。本報では当社のモールドパウダーの50年の歩みと開発してきた 製品について,その背景にあたる連続鋳造設備の技術変遷を交えながら紹介する。

報文

電炉溶鋼鍋用「鋼浴部ゼロカーボン・ライニング」のご紹介

石原英治, 西村雅史

<要約>
2050年までのカーボンニュートラルを目指し,鉄鋼産業ではCO2排出量の低い電炉比率の増大が 予想される。それにより,電炉で生産する鉄鋼製品が高級化,溶鋼鍋での二次精錬が強化される と思われる。強い二次精錬を行う溶鋼鍋は耐火物の損耗が激しいため,鋼浴部にはAl2O3-MgO-C れんがが用いられる場合が多い。これに対して高耐食性のAl2O3-MgO質耐火物を適用する「鋼浴 部ゼロカーボン・ライニング」を推奨した。耐火物材質は不焼成Al2O3-MgO質れんが“ALTIMA”, Al2O3-MgO質流し込み材,およびAl2O3-MgO質流し込み材のプレキャストブロックで,使用環境 に応じて適切に組み合わせて使用することができる。熱伝導率の低い鋼浴部ゼロカーボン・ライニングの適用により,放熱による熱損失の抑制とそれによるCO2排出の削減,耐火物からのカーボンピックアップの防止が可能となる。さらに流し込み施工を行う場合,継ぎ足し補修による原単位低減や産廃量の削減が期待できる。このような特徴を持つ鋼浴部ゼロカーボン・ライニングは,すでにいくつかの溶鋼鍋に適用されている。

強度に着目した新しい低熱伝導率耐火物とその適用

浅川幸治, 鈴木悠人, 飯田正和, 末武伸介

<要約>
低熱伝導率耐火物を用い高温設備の炉体からの熱放散を低下させることは,消費されるエネル ギーの低減とCO2の排出削減に繋がるため,今後益々注目されると予想する。一方,一般的に低熱 伝導率材質は強度が低く用途が限られるため,従来品より強度の高い材質が必要になる。内張りにも使用可能な高強度断熱キャスタブル,新規開発したファイバーキャスタブル,裏張りに使用しても塑性変形しにくい断熱ボード等は,低熱伝導性を維持しながら強度の向上を図った材質で,今後幅広い分野で活用されることを期待している。

浸漬ノズルへのアルミナ付着抑制技術

新妻宏泰, 松長隆行

<要約>
鋼の連続鋳造に用いられる浸漬ノズルの課題のひとつに,アルミナ付着が挙げられる。アルミ ナ付着のメカニズムは化学的,物理的要因が複合的に関与したプロセスである。本報では,浸漬 ノズルへのアルミナ付着抑制に効果がある4 種類の材料系および2種類の構造の特徴についてそれぞれ紹介し,それらの実機適用結果について報告する。

Spinel-Cれんがの特性と実機使用結果

冨谷尚士

<要約>
Spinel-Cれんがはスラグ浸潤を起こさず耐MgO-C反応性に優れる特徴を有する。このSpinel-C 組成のれんがをRH下部槽側壁と直流電気炉の炉底のれんがに適用したところ,MgO-Cれんがに比較して良好な結果が得られた。損耗速度の低減について,使用後サンプルの微構造観察より MgO-C反応の抑制効果によると推定された。

セメントキルン用マグネシア-スピネル質れんがのラインナップ

戸田義大, 伊賀棒公一, 諏訪毅

<要約>
セメントキルンでは,廃棄物や副産物の処理量増加等により炉内環境が過酷化かつ多様化している。当社で製造しているセメントキルン用マグネシア-スピネル質れんがはそれらの変化に対応すべく各種開発と改善を続けている。本稿ではセメントキルン向けのマグネシア-スピネル質れんがのラインナップと新規材質の特徴及び使用実績を紹介する。

製品紹介

軽量タイプ小型乾式吹付装置コアラmini

西口英邦, 小松原清行, 浅川幸治

<要約>
小規模吹付け補修用として,圧縮エアと水のみで使用可能な小型乾式吹付装置コアラを大幅に 軽量化し,吹付け作業の改善も図ったコアラminiを開発した。コアラminiはコアラ同様にコンパクトで,22㎏と軽量なため,狭い場所や,階段でしか移動できない設備においても,持ち込み可 能である。例えば,焼却炉・加熱炉・PCI設備・コークス炉炉頂・KRインペラー・高炉炉内や CDQ除塵機等が挙げられる。実際に点検デッキから鉄鋼製造用設備の熱間補修を行い,その延命効果が認められた。このように,従来では吹付け補修が出来なかった設備においても,コアラ miniにより吹付け補修が可能となることで,効率的で経済的な操業に貢献できる。

流し込み・こて塗共用タンディッシュ補修材CA-160-13T

太田幸佑, 木村由美

<要約>
タンディッシュの壁のこて塗り補修と羽口周りの流し込み補修に併用が可能な補修材CA-160- 13Tを開発した。2 種必要であった材料を1種で賄えるため,在庫管理が容易になるとともに補修作業も簡便になる。

セラミックファイバーを用いた軽量焼成窯道具の紹介

(イソライト工業株式会社)小泉岳, 上道健太郎, 鈴木秀尚

<要約>
焼成用窯道具は,焼成炉内で被焼成物を積載する棚を構成する耐火物や,被焼成物を入れる耐 火物容器であり,電子部品の焼成,電子材料粉体の加熱処理,半導体熱処理工程の治具など,その用途は多岐に渡る。当社は従来からセラミックファイバーを主原料とした軽量窯道具を製造, 販売してきたが,昨今の社会情勢に合わせ,ラインナップの拡充を進めている。本報では,軽量 匣鉢,軽量セッターについて紹介する。

窒化ケイ素/窒化ホウ素複合材料 SSNB の特性と応用

(品川ファインセラミックス株式会社)吉川正博, 一森照光, 武田輝彦

<要約>
当社のSSNBは窒化ケイ素(Si3N4)に六方晶窒化ホウ素(h-BN)を添加することによりSi3N4が持つ優れた機械的特性とh-BNの持つ優れた耐熱衝撃性,機械加工性とを兼ね備えたセラミックスである。本セラミックスは微細組織を改良することによって,従来材料であるSNBの強度を平均 で35%,耐熱衝撃性を15%改善している。本材料を溶湯部材・耐熱部材として適用することで,より過酷な熱環境下での応用範囲を広げている。本報告ではこのSSNB特性と応用について概説した。

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