SHINAGAWA TECHNICAL REPORT 品川技報

No. 64 (2021) 第64号 (2021年)

品川技報

目次

  • ・巻頭言
  • ・解説
  • ・報文
  • ・製品紹介

巻頭言

更なる海外展開の実現へ向けて

常務執行役員 海外事業本部長   三木平基

解説

保温性に優れた顆粒タイプの発熱型モールドパウダー

岩本行正, 伊藤純哉, Jim GILMORE, 岡田正典

<要約>
連続鋳造において,低炭・極低炭素鋼の気泡欠陥,介在物欠陥の低減や,中炭素鋼の鋳片表面割れの抑制のためにはモールドパウダーの保温性の向上が効果的である。粉末タイプのモールドパウダーは顆粒タイプよりも保温性に優れ鋼品質も良好であるが,顆粒タイプのモールドパウダーに金属を添加して発熱性を付与させることで粉末タイプと同等の保温性とし,鋼品質を向上させることが可能である。

報文

新開発緻密質取鍋湯当たりブロックの耐構造スポーリング性

藤井将史, 西村雅史

<要約>
取鍋の湯当たり部の耐用性向上を目的に湯当たりプレキャストブロックの低水分による緻密化を検討した。粒度構成の最適化や高機能性分散材の使用等の各種検討により,水分2.5%で施工可能な湯当たりブロックを開発した。緻密化の結果,従来材質と比較して1000℃における強度が大きく向上し,実機試験においても耐用性向上効果が確認された。

高炉主樋SL材の損耗速度に及ぼすSiO2成分と事前加熱の影響

阿井幸男, 飯國恒之, 鈴木建司, 金谷 智

<要約>
高炉主樋SL用SiC-Al2O3-C質の流し込み材のSiO2含有量と事前加熱が損耗速度に及ぼす影響を侵食試験で評価した。その結果,SiO2含有量に比例して損耗速度は大きくなり,その傾向は事前加 熱することで顕著になった。一方,化学分析の結果,事前加熱により材料中のCが減少すること,Cの減少はSiO2含有量に比例して顕著になること,が示された。これはSiO2がCを酸化する以下の反応によるものと考えられた。SiO2(s)+C(s)=SiO(g)+CO(g) これより,事前加熱がSiO2の損耗促進を助長したのは耐食性向上効果の高いCを酸化して減少させたためと推定された。実樋において主樋耐火物は背面側で高温の事前加熱を長時間受けた後に稼働面として露出することから,背面側での事前加熱中にSiO2によるCの酸化が生じ,耐食性の低下が誘発されている可能性が考えられた。これより,損耗速度を低減させるには材料中のSiO2を可能な限り減らすことが重要であることがわかった。

耐エロージョン性に優れた二次精錬炉用マグクロれんが

伊賀棒公一, 平山堅太郎, 宮田雄斗

<要約>
二次精錬炉での損傷の一つにエロージョンが挙げられる。適用されるマグクロれんがにも耐エロージョン性が求められるが実炉の状況を考えると熱脆化後の耐エロージョン性がより重要になる。れんがの結合組織を強化することで熱変動に強く実炉での耐エロージョン性を改善したセミリボンドマグクロれんがについて紹介する。

金属クロム添加アルミナ-カーボン質スライドプレートの開発

林 煒, 濱本直秀, 馬場浩樹, 松長隆行

<要約>
鋼の連続鋳造用スライドプレートの材料として,金属Al含有Al2O3-C質が広く適用されているが,Ca処理鋼に対する耐食性が不十分であるなどの不足がある。この課題を改善する手法として金属Crを併用するAl2O3-C質プレート(新規材)を開発した。この新規材は実機使用において,従来材より損傷程度が小さく,高寿命を示した。この結果はCrが微細なAl2O3粒のカーボンによる還元を抑制し,溶鋼およびスラグの粘度上昇によるれんが内への浸透抑制などに作用を果たしたためと考えられる。基礎検討でも,金属Crが焼成後にCr含有の窒化物および炭化物を生成し,溶鋼による組織脆化やスラグによる溶損が低減することを確認した。

アルカリアースシリケートウール BSSRの特徴

(イソライト工業株式会社) 堀場弘輝, 上道健太郎, 白石安生

<要約>
働安全衛生法の改正により,リフラクトリーセラミックファイバー(RCF)が改正特定化学物 質障害予防規則(特化則)の管理第2類物質に指定されたことから,規制対象外であるアルカリアースシリケートウール(AES)へ切り替えが進んでいる。高温での需要も高まっており,当社でも従来よりも高温グレードの製品を開発した。本報告では,各温度グレードのAESブランケットの比較について述べる。

製品紹介

漏鋼リスクの極めて低いポーラスプラグPKG

石原英治

<要約>
溶鋼鍋の底部から攪拌のための不活性ガスを吹き込む耐火物としてポーラスプラグが使用され ている。その過使用防止や点検方法については種々の対策がとられているが,漏鋼の危険が潜在的に取り除けているとは言えない。ポーラスプラグPKGは,過使用された場合にも漏鋼の危険性が極めて少ない安全なプラグである。その構造と原理について述べる。

モールド内溶鋼流動を改善させる次世代型浸漬ノズル

西尾奏恵, 新妻宏泰

<要約>
モールド内の溶鋼流動は安定鋳造と鋼品質に大きく影響を与えるため,浸漬ノズルの役割は非 常に重要である。特に,浸漬ノズルからの吐出流はモールド内溶鋼流動に大きな影響を与える。我々は吐出流速を抑える新しい吐出孔デザイン(DiA)を開発した。本報告では開発した‘DiA型吐出孔ノズル’について紹介する。

コークス炉装入孔用スラリータイプシール材

西口英邦, 山田隆太, 浅川幸治

<要約>
コークス炉では炉頂の装入孔枠と蓋の隙間からの炉内ガスリークの防止を目的に,粉末と水を 混合して調整したスラリーが注入される。しかし,スラリーの調整が不十分だとシール不十分,注入時の排出不良,スラリー搬送時の圧送不良等の問題が生じる。これに対してスラリータイプのシール材XX-12W-1を開発した。これは粉末タイプの従来品と異なり製造工場で作成したスラリーとして出荷されるため現場での煩雑なスラリー調整が不要となる。スラリーは製造工場で品質管理されており,現場におけるスラリーの調整不良に起因する各種問題を生じ難い。中でもシール性は従来品より向上しており,新開発のスラリータイプシール材XX-12-W-1を使用することで シール性に起因する問題を大幅に低減することが可能となる。

CONTACT お問い合わせ

お名前
Eメールアドレス
電話番号
会社名
お問い合わせ項目
お問い合わせ内容

入力必須

お客様から寄せられる情報等について

個人情報保護方針」をご確認の上、ご記入ください