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1.耐火物を祖業として産業発展に貢献
 ~グループ経営で幅広い事業展開と成長~
当社グループは、中核企業である品川リフラクトリーズが1875年に創業して以来、我が国の経済発展を需要家産業への貢献を通じて支えてきました。そして今日の当社グループは、祖業である耐火物に加えて、独自の技術を培ってきた断熱材事業、窯炉・工業炉・環境炉等の設計から施工までを取り扱うエンジニアリング事業、さらには今後の成長分野と位置付けているファインセラミックス等を中心とした先端機材事業なども手掛ける、幅広いポートフォリオを有する企業グループに成長しました。今や品川リフラクトリーズグループは、世界の耐火物企業のなかでも類い稀な幅広い商品を有する「高温技術のリーディングカンパニー」と言えます。第5次中期経営計画(2021~2023年度)では売上高1,150億円、経常利益115億円の目標を掲げましたが、最終年度にあたる2023年度においては売上高1,441億円、経常利益149億円と目標を大幅に上回る業績を達成しました。

2.ビジョン2030と第6次中期経営計画の策定
 ~目指す姿からのバックキャスティング~

(1)ビジョン2030

新たな中期経営計画が始まった2024年5月には、品川リフラクトリーズグループが将来どのようにあるべきかを示したビジョン2030と第6次中期経営計画(2024~2026年度)を発表いたしました。ビジョン2030は2030年度をターゲットに、従来の3年間というスパンに捉われず、もう少し長期的な視点に立って考えた、当社グループのあるべき姿とそれを実現するための基本方針を示しています。そして2024年度から2026年度にいたる第6次中期経営計画は、ビジョン2030の実現に向けて、この3年間に何をどこまで達成するかを導き出すバックキャスティングにより策定いたしました。 ビジョン2030の基本方針は「事業成長と社会課題解決への取組みを表裏一体として追求」することとし、グローバルな事業成長、成長分野への進出、サステナビリティへの対応を大きなテーマとして諸課題に取り組んでまいります。

財務目標

ターゲットである2030年度の財務目標は、2023年度実績*1を大幅に更新する、売上高2,400億円、ROS12%(営業利益ベース)としました。新たに重要な評価指標に採り入れたROICについては12%とし、足元の当社の資本コスト6.5%を大きく上回る目標を掲げました。これらの数値目標を実現するには、国内外の既存の事業拠点におけるオーガニックな成長に加え、グローバル市場や新規市場において、M&A・JV等による事業拡大が必要です。こうした事業拡大に向けた投資を積極的に行うためには、まずは国内の既存事業で十分なキャッシュフローを生み出す必要があり、その為に、国内耐火物事業においては「生産体制の再整備」、「商品開発力の強化」、「拡販と適正価格の実現」を進めてまいります。そして、断熱材・先端機材事業では「半導体製造装置業界をはじめとする成長市場への浸透」を推進し、エンジニアリング事業においては「グローバル市場への事業展開」と「国内における工業炉・環境炉分野への受注拡大」を推し進めます。

サステナビリティ目標

サステナビリティへの対応については、気候変動対策と人的資本戦略の実行を2つの柱としています。気候変動対策の目標として、ターゲットとなる2030年度にはCO2排出量(連結ベース)を2022年度比50%削減、使用後耐火物リサイクル原料などのグリーン原料使用比率(単体ベース)を20%(2023年度実績10%)にアップすることを掲げました。また、こうした省エネルギーやリサイクル事業の推進に加えて、当社グループの耐火物技術、断熱材技術、エンジニアリング技術を融合させたお客様の高温プロセスにおける熱ロス低減へのソリューション提供も強化してまいります。人的資本については、経営戦略に即した人材開発・組織開発、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、働きやすい職場環境の創造に取り組みます。

創発的戦略と人材開発・組織開発

事業活動とサステナビリティ活動を相互に補強する経営を進めていきますが、環境変化の激しいVUCA*2の時代に重要となるのが「創発的戦略」の実行です。創発的戦略では、当初に設定した経営戦略は「仮説」と位置付けられます。そして、経営環境の変化や打ち手の有効性に応じて戦略は大きく変容し、新たな打ち手が追加されていきます。この創発的戦略の展開には、会社として意思決定や実行における合理性、柔軟性、迅速性が求められ、それを体現する人材や組織能力を備えることが重要となります。そのためビジョン2030においては、特に「人材開発・組織開発」を当社グループの重要課題として取り組む所存です。

(2)企業理念の再構築

2025年度には品川リフラクトリーズの操業150周年を迎え、ここで当社グループの新たな企業理念を再構築する予定です。企業グループとしての事業領域の拡大や社会経済情勢の変化を踏まえ、品川リフラクトリーズグループとしての志(パーパス)や目指す姿(ビジョン)、大切にしたい価値(バリュー)を打ち出すべく、現在検討を進めているところです。

(3)第6次中期経営計画の目標

私たちは、2024年度からビジョン2030のターゲットとなる2030年度までの7年間を、当社グループにとって「さらにその先の未来へ向けた」重要な期間と位置付けています。ビジョン2030目標の達成に向け、諸課題への取組みに邁進する所存です。
そして、2024年度から始まる第6次中期経営計画は、ビジョン2030のファーストステップとして、売上高1,800億円、ROS11%、ROIC10%を目標に掲げました。目標達成に向けて、全力で事業活動を展開してまいります。(詳細は2023年度決算説明会資料をご覧ください)

*1 2023年度の財務実績:売上高1,441億円、ROS9.6%(営業利益ベース)、ROIC9.1%

*2 VUCA=Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性

代表取締役社長
藤原 弘之

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