SHINAGAWA TECHNICAL REPORT 品川技報

No. 63 (2020) 第63号 (2020年)

品川技報

目次

  • ・巻頭言
  • ・特別寄稿
  • ・報文
  • ・製品及び実績の紹介
  • ・レビュー

巻頭言

耐火物営業担当として

常務執行役員 第3営業部長   柳川浩洋

特別寄稿

鋳鋼鍋の改善 ~不焼成アルミナ・マグネシア質ALTIMAれんがの適用による寿命延長~

秋木製鋼(株)  笠井鉄良
(株)セラテクノ  高倉雄一

<要約>
秋木製鋼では,当社では10Tエルー式アーク炉で製鋼し8Tまたは7T取鍋で受鋼して鋳造を行っている。2016年にステンレス鋼種の比率増加に対してアーク炉の炉床スタンプ材の掘れ損傷の改善を報告したが現在まで床起こし無しで安定した状態である。一方,取鍋においても受鋼鋼種の多品種化により平均耐用回数が100回前後で安定しないため,コスト及び築炉作業面で課題となっていた。そこで今回取鍋れんがの改善に取り組むことで,安定耐用を実現し寿命が1.8倍に延長し,耐火物総合原単価が47%低減できた事例を報告する。 (一般社団法人 日本鋳鍛鋼会「鋳鋼と鍛鋼」 No.550, pp.18-25 (2019)より転載)

報文

溶鋼鍋不定形技術の変遷及び現在の取り組み

西村正明,浅川幸治

<要約>
本報告は日本の一貫製鉄所における取鍋に適用される不定形耐火物の推移を取り纏め報告する。ジルコン質は流し込み材質として一定量の成果が得られた最初の材質であった。その後,取鍋で行われる 2 次精錬プロセスの過酷化に伴い,耐食性及び耐スラグ浸潤性を改善するために,アルミナ・スピネル質,アルミナ・マグネシア質が開発された。現在,耐久性のある緻密質アルミナ・マグネシア質キャスタブルが広く適用されており,良好な耐用性が得られている。

各用途に適合した取鍋用煉瓦

村上晃陽,冨谷尚士,田敦久

<要約>
極低炭素鋼を製造する取鍋では高温での精錬が行われる場合が多く,スラグライン,メタルラインともに損傷が大きい。一方で極低炭素鋼は耐火物からのカーボンピックアップを嫌うためノンカーボン質煉瓦が使用されることが多いが,スポーリング損傷により十分な耐用が得られないことがある。本項では極低炭鋼溶製に用いられる煉瓦に関し耐用と溶鋼の汚染抑制を両立させた製品群を紹介する。

高炉樋向け高熱間強度ケミカルボンドキャスタブル

飯國恒之,森本喜久,田中大輔

<要約>
近年,セメントを使用せず,バインダーとしてシリカゾル溶液を用いたケミカルボンドキャスタブルが注目されている。高炉樋向けケミカルボンドキャスタブルの耐用性向上を目的に,熱間強度向上の検討を行った。その結果,添加物Xを添加することによって,熱間強度が大きく向上することがわかった。添加物Xを添加したケミカルボンドキャスタブルを実炉でテストし,良好な結果が得られた。

組織脆化に対するMgO-Cれんがの粒度構成の影響

島田 岳,飯田敦久,柿原昌佳,古谷彰平

<要約>
本報では,MgOの粒度構成が組織脆化に及ぼす影響を明らかにするために1.0mm以下のMgOを篩い分けし,粒度構成を変化させた試料を作製し,評価を行った。MgOの表面積が増加するに従い,重量減少率が大きくなり反応に伴う組織脆化が認められた。一方で,通気率が同程度の試料であれば表面積の大きい試料の方が重量減少率は増加しており,表面積はMgO-C反応に影響していることが明らかとなった。また,れんが組織脆化には,れんが系外へガスが拡散する際の抵抗性が大きく影響しており,これらには,6μm以上の大きな気孔の増加が最も影響すると示唆された。

AES成形品の機能性向上

イソライト工業(株)  矢地史幸,白石安生,橋本敏昭

<要約>
AES成形品のフィラー添加により機能性向上した事例について紹介する。フィラーを添加した時のAES成形品のクッション性について検討,更に,ガラス繊維を添加した時の加熱冷却後の保形性向上について検討した。

製品及び実績の紹介

装入壁用高靭性MgO-Cれんが

柿原昌佳,藤吉亮磨,金子詳平,飯田敦久

<要約>
近年の転炉における装入スクラップの大型化やスクラップ比率増加の影響より,装入壁は転炉寿命のネック部位となることが多い。当社では装入壁用MgO︲Cれんがとして靭性向上に着目した製品開発を行い,実機において良好な耐用性を示す結果が得られた。本報告では高靭性MgO-Cれんがとその実機使用結果について紹介する。

速乾性RH浸漬管補修用吹き付け材

鈴木悠人,小松原清行

<要約>
RHの処理数が多い場合には,吹き付け補修後の待機時間が短く吹き付け材の乾燥が不十分になることがある。それを解消する速乾性を付与するため,粒度構成の変更と特殊添加剤の配合により従来品と同等の高温面への付着性を保ちつつ,水抜け性に優れるRH浸漬管補修用吹き付け材を開発した。

新規ロングノズル浸漬部材の開発

岡崎亮太,新妻宏泰,松長隆行

<要約>
ロングノズル浸漬部の割れ対策として,材質の耐熱衝撃性や品質変化抑制が挙げられる。当社では,黒鉛粒度構成を最適化することで高い耐熱衝撃性を有する材質を開発した。本報告では,新規ロングノズル浸漬部材とその実績を紹介する。

レビュー

高Al中炭素鋼用モールドパウダー

中谷枝里香,岩本行正

<要約>
鋼中Alが高い鋼種においては,連続鋳造時に鋼中Alとモールドパウダー中のSiO2が反応してパウダー特性が大きく変化し,これにより操業異常や鋳片品質の悪化など生産の障害となることがある。鋳造中にパウダー特性が大きく変化しても,操業安定性と鋳片割れ抑制の両立が求められる高Al中炭素鋼用モールドパウダーの設計は極めて難しい。本報告では,安定操業と鋳片品質向上を両立可能な高Al中炭素鋼用モールドパウダーについて述べる。

薄スラブ用モールドパウダーの現状

伊藤純哉,髙橋尚志,岩本行正

<要約>
鋼のニアネットシェイプ鋳造技術が向上し,世界中で多くの薄スラブ連続鋳造機が稼働している。それに伴い,薄スラブ鋳造用のモールドパウダーの開発が,操業と鋼品質の改善のために進められている。本報告では,薄スラブ用モールドパウダーの特徴について新技術の紹介と共に概要を述べる。

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