品川技報 第52号 (2009年)

品川技報

品川技報
第52号(2009年(平成21年))

目次

巻頭言

所感'激動の時代に'

常務取締役 塚本 昇

報文

ラブの高速鋳造技術における当社機能材の取り組み

飯田栄司、小形昌徳、尾本智昭、岩本行正

<要約>

スラブの高速鋳造化(2.0~3.0m/min)は 湯面変動の増大と凝固シェル厚みの減少を招くので、浸漬ノズルやモールドパウダーは操業条件に合うように改良を重ねてきた。ブレイクアウトを防止するため、モールドパウダーではパウダー消費量、滓化速度、低温での粘度、スラグフィルムの剥離性を考慮した材料設計を行っている。また、メニスカスでの緩冷却とモールド内の十分な抜熱を両立する新しいモールドパウダーを中炭素鋼の高速鋳造用に開発した。浸漬ノズルは、段差型やモーグル型のノズルが、偏流を防止し、介在物の深部侵入を抑制する点で、高速鋳造に適している。

低炭・極低炭用モールドパウダーの開発

伊藤純哉、岩本行正、尾本智昭、鈴木貴之、Jim GILMORE、何 波

<要約>

モールドパウダーは鋼の連続鋳造において操業安定および鋳片・製品品質に大きな影響を与える因子の1つである。

低炭・極低炭素鋼の主な欠陥は介在物および気泡性欠陥である。新規に開発した高粘度モールドパウダーは鋳造の安定性を確保できるとともに、冷延コイル品質欠陥率を従来品と比較して約40%低減させ、生産性と品質の向上に大きく貢献した。

転炉逆傾斜フルライニング構造の開発

内田茂樹

<要約>

転炉用内張りれんが積みの理想的なライニングとして、"逆傾斜フルライニング構造"を提案する。転炉の下部ナックル部、直胴部、絞り部の3部位に各種ライニングを適用したときのパターンは全部で36ある。 有限要素法(FEM)による構造解析技術を駆使して、これらのパターンを検討した。その結果、転炉の下部ナックル部をラウンドコーナー積みまたは逆傾斜積みに、直胴部と絞り部を逆傾斜積みにした構造にすれば、れんがの割れ、脱落損傷が起こらないことが予想できた。

製品及び実績の紹介

低カーボン系MgO-Cれんが"GAIREXシリーズ"

柿原昌佳、多田秀徳、飯田栄司

<要約>

MgO-Cれんがは転炉やRH、電気炉に使用されており、その使用目的によっては耐用性および環境的な問題を解決するため含有するカーボン量の削減が必要となる場合がある。 しかしながら、含有するカーボン量の削減は耐スポーリング性を低下させるといった 大きな問題を抱えている。弊社ではこの問題を解決するため、MgO粗粒周囲への膨張吸収層設置技術と特殊ピッチ添加技術を導入し、高耐スポーリング性低カーボン質MgO-Cれんが"GAIREX"を開発した。本報告ではこの"GAIREX"の特徴について紹介する。

低カーボン系MgO-CれんがGAIREXシリーズ

転炉補修用超速硬性焼付材

佐々木久晴、小松原清行、小山孝昭

<要約>

近年、転炉の工程において補修時間の短縮は 生産効率の向上のため重要な手段である。そこで短時間硬化する超速硬性焼付材を開発した。

多機能性不定形耐火物"ポリバレント(POLYVALENT)"

佐々木久晴、山地浩之、瀧川 勝、難波 誠

<要約>

製鉄所や焼却炉において、溶湯やスラグと直接接触しない、比較的、低負荷の部位には、"汎用品"と呼ばれる不定形耐火物が使用されている。当社では汎用品の重要特性である作業性に着目し、水分調整のみで、吹付け施工、コテ塗り施工、流し込み施工、ポンプ施工の全ての施工方法に対して1材質で対応可能な今までにない画期的な新ブランド汎用品"ポリバレント(POLYVALENT)"を 開発したので、製品ラインナップ、および特徴について紹介する。

不定形耐火物の低粉塵化技術

佐々木久晴、山地浩之、瀧川 勝、難波 誠

<要約>

不定形耐火物は鉄鋼および非鉄業界のさまざまな窯炉に広く使用されている。我々は不定形耐火物の作業環境改善への対策として低粉塵型の製品を開発した。低粉塵型製品は従来品と比較して発塵量が大幅に少なくなっており、製品の取り扱い時や吹付け時の作業環境の改善が期待できる。現在、低粉塵型の製品の用途は拡大しており、ユーザーから好評を得ている。

プラスチック吹付け工法および材料の開発

笹井洋一、佐々木久晴

<要約>

プラスチック耐火物は、耐火粘土を可塑性原料として 使用した粘土結合材のことであり、ランマー打ちや圧縮空気による吹付けにより施工されている。

当社でもプラスチック吹付け材料および施工方法の開発・販売を行っているが、プラスチック吹付けは、ランマー打ちに対し工期短縮ができる半面、接着率が乾式や湿式吹付けに比べて劣ることや、施工後の養生収縮率がランマー打ちよりも大きい欠点があった。

そこで、接着率及び作業性向上の為の各種装置改善と養生収縮の少ない材料を開発することができたので紹介する。

新型スライドバルブ装置(SST)の実用化

山本堅二、長田基嗣、高田 敦

<要約>

製鉄所で使用される流量制御用スライドバルブ装置において、自動面圧負荷方式で構造がシンプルなSSTタイプを開発し、実用化が進んだので以下に報告する。

大型超高温ジルコニア炉

笹井洋一、奥原潤一郎

<要約>

ジルコニア炉は、酸化雰囲気で2000℃まで昇温可能な電気炉であり、当社の他に実用化・販売しているメーカーはどこにもない。しかし、ジルコニア炉は炉内有効寸法がφ25mmと小さいことから、 用途がラボテスト用に限られていた。

近年、製品焼成用として大型炉のニーズが多いが、温度測定精度と 白金線端子部溶断の課題が残っていた。そこで、各種改善を行い、より信頼性の高い炉ができたので紹介する。

トンネルキルンのLNG化による環境対策

藤谷信吾、小坂勝司

<要約>

CO2削減をはじめとした環境対策は、地球規模で取り組んでいかなければならない大きな課題である。 高まる環境ニーズのため、岡山第2工場ではトンネルキルンに使用する燃料を LPGからLNGに転換した。

炭化珪素原料、炭化ホウ素原料の純度に影響する炭素の定量分析

池上克重、延原誠二、内田茂樹

<要約>

炭化珪素原料、炭化ホウ素原料の純度確定には、原料中に含有される遊離炭素の定量分析が必要である。従来の燃焼―赤外線吸収法では十分な精度をもって遊離炭素を分析できなかった。 そこで、湿式酸化分解―クーロメトリー法をこれら原料に適用できるように改善し、原料中の遊離炭素量を高精度に分析できるようになった。本法を応用して、炭酸塩と遊離炭素とが混在した製品から炭酸塩を分離して分析することも可能になった。

技術資料

日本と中国の耐火物状況の比較

リン・ウェイ

<要約>

近年、中国経済の急速な発展に伴って 中国各産業の動向に対する世界の関心がますます高まっている。中国の耐火物産業の動向に関しては、日本の耐火物技術協会が2005年4月に 耐火物誌の特集号を刊行し、耐火物の生産や原料などについて詳細に紹介している。本稿では、最近2、3年間のデータも取り上げて、日本と中国の耐火物状況を比べ、両国間のいくつかの差異を示し、今後の動向について考えてみた。

関係会社製品紹介

Shinagawa Refractories Australasia Pty. Ltd.
「オーストラリア市場向けショットクリート材質の開発」

Philip EDWARDS、Mark HERRING、Dr. Lan HONG、佐々木久晴、濱崎佳久

<要約>

ショットクリートは開発されてから幅広い産業で使用されている。オーストラリアの産業、例えばアルミニウム、鉱業、セメント等の分野では、施工の優位性(特に施工速度や施工環境への配慮)からショットクリートの導入に積極的である。

しかし、既存のショットクリート材はこれら産業の強い要望に十分に応えられていなかった。今回、シナガワ・リフラクトリーズ・オーストラレイシア(SRA)は客先の要求に応える新材質を開発し、その実機適用に成功した。

品川ファインセラミックス株式会社「モリブデン電極とセラミックスを用いた避雷器の開発」

山陽電子工業株式会社 山根俊治

<要約>

高速応答性に優れたモリブデン避雷素子を開発した。今まで他社製避雷器による効果がなかった箇所への導入において, 着実に実績評価されており大変ご好評を頂いている。

品川化成株式会社「ドライクリーニングとドライ溶剤の清浄化」

南園広志、三星敏雄

<要約>

水の代わりに有機溶剤を使用して衣類を洗浄するドライクリーニングにおいて、衣類から除去された汚れは、溶剤中に溶け込んでいく。だがドライクリーニングでは有機溶剤が数百回と繰り返し使用されるため、溶剤中に溶け込んだ汚れを除去する必要がある。汚れた溶剤から汚れを除去するものがクリーニング清浄剤である。当社は、昭和40年アロフェンを利用したクリーニング清浄剤「Pエース」を市場に投入した。「Pエース」は、効率良く溶剤中の汚れが除去できる優良な製品として現在まで好評を博している。