SHINAGAWA TECHNICAL REPORT 品川技報
No. 67 (2024年) 第67号 (2024年)
目次
- ・巻頭言
- 旨在扩大中国业务 / 中国でのビジネス拡大を目指して
- ・特別寄稿
- 品川リフラクトリーズ・オーストラレーシアの25年の歴史
- ・報文
- ピッチの諸特性が高炉樋用流し込み材の特性に与える影響
- 高炉の安定操業および低CO2排出に貢献するグラフェン状構造を持つマッド材
- 高周波誘導炉を用いたマグネシア-カーボンれんがの超高温加熱試験
- 環境配慮型商品 -RH脱ガス用マグネシア-アルミナ質クロムフリー不焼成れんが-
- 薄スラブ,中厚スラブ用コンパクト浸漬ノズル形状の開発
- モールドパウダーの溶融性状評価方法の開発と形状の影響
- 拘束下加熱による熱応力と目地設計の検証
- ・製品紹介
- 環境配慮型セメントロータリーキルン用 Green Refractory
- 環境に配慮したリサイクルMgO-Cれんが“Green Refractory”シリーズ
- 急乾燥対応型高耐用吹付け材「SIG(Shinagawa Improved Gunning)」について
- BSSRボード・成形品の紹介
- 耐食性を有する耐熱無機塗料「N-TAC-XD1」
巻頭言
中国でのビジネス拡大を目指して
遼寧品川和豊冶金材料有限公司 常務副総経理
温 鉄光
特別寄稿
品川リフラクトリーズ・オーストラレーシアの25年の歴史
Shinagawa Refractories Australasia Pty Ltd
Nathan LEICHT
報文
ピッチの諸特性が高炉樋用流し込み材の特性に与える影響
金川拓馬,鈴木建司,飯田貴志
<要約>
高炉樋用流し込み材にはAl2O3-SiC-C材質が使用されており、耐用性向上には熱間での特性が重要とされている。また、それらの特性に影響を及ぼすカーボン原料としてピッチが使用され、ピッチの特性を示す軟化点やQI値に加えβ-レンジ量で整理し、高炉樋用流し込み材の熱間強度および耐食性に与える影響を調査した。その結果、βレジン量と熱間強度および耐食性に高い相関性が認められた。β-レジンは熱間強度や耐食性に大きく寄与し,ピッチ選定時の重要な指標と考えられる。
高炉の安定操業および低CO2排出に貢献するグラフェン状構造を持つマッド材
(Shinagawa Refratários do Brasil Ltda.)
Deivison Carlos Fontes HESPANHOL, Eric Yoshimitsu SAKO, Heloisa Daltoso ORSOLINI,
Bianca Maria Gomes da SILVA, Douglas Fernando GALESI and Jamilson Leal de Souza FERREIRA
<要約>
安定した高炉操業は,マッド材の性能が大きく影響する。マッド材は,スラグによる溶損と銑鉄による侵食が複合的に作用し損傷する。このような背景のもと,鉄鋼生産における低品質原料の使用や高炉操業の低コスト化によって操業条件が厳しくなっているが,グラフェン状構造を持つ革新的なマッド材を使用することでそれらの問題を解決した。化学的な損傷に対する耐性に優れることで安定した炉内堆積基盤の形成と出銑流を実現するこの技術は,高炉の低燃費操業を可能にし,製鉄分野におけるCO2排出量と耐火物使用量の削減に貢献している。
高周波誘導炉を用いたマグネシア-カーボンれんがの超高温加熱試験
島田 岳,石原英治
<要約>
高周波誘導炉に内張したMgO-Cれんがを、溶鉄を媒体として超高温(1800℃)まで加熱し、損傷させた結果、黒鉛量が損傷速度に影響を与えることがわかった。この損傷は、加熱面近傍におけるマトリックス空隙層形成とマグネシア粒子の溶鉄への流出という2つのステップからなることが推定された。空隙層の形成にはMgO-C反応が関与しており、黒鉛量によって稼働面の組織が温度に依存して変化し、反応ガスの移動性に影響を与えることが示唆された。
環境配慮型商品
-RH脱ガス用マグネシア-アルミナ質クロムフリー不焼成れんが-
(Shinagawa Refratários do Brasil Ltda.)
Patrícia Alves Silva de Resende BRUM, Vladnilson Peter de Souza RAMOS,DouglaFernandoGALESI,
Ariovaldo do NASCIMENTO, Haysler Apolinário Amoroso LIMA andHamilton Cesar GUIMARAES
<要約>
多くの企業では,2050年までにCO2排出量のネットゼロ実現に向けた様々な取り組みが推進されている。当社においても,CO2排出が少ない製品の研究開発に注力しており,環境配慮型製品をユーザーに提供し,貢献することを目指している。本研究によって開発された不焼成クロムフリーれんがによって,CO2排出削減だけでなくクロムによる環境汚染リスクの排除により,新たなリサイクルの可能性も生まれる。
薄スラブ,中厚スラブ用コンパクト浸漬ノズル形状の開発
新妻宏泰,藤田佳吾,松長隆行
<要約>
近年適用が広がっている薄スラブ,中厚スラブ連鋳機用の浸漬ノズルは,円筒の注入部と薄く広がった扁平な浸漬部からなり,吐出流の偏りが発生しやすく,鋳片品質向上の点で課題がある。また,扁平部を極端に広げると重量が大きくなりハンドリングが課題となる。今回,扁平部をコンパクトにした上で,湯面変動や偏流を解消できる構造を開発した。扁平部の内管断面積を上部円筒形部の1.5倍程度に留めることで扁平部をコンパクトにし,吐出孔に上面を下向きに下面を水平かやや上向きにしたDiA形状を導入することによってメニスカス流速をより低下させ湯面変動を低減させることに成功した。また,上部円筒形部に凹み段差構造を導入することによって流入時点での流れの偏流状態を解消できることを見出した。これら開発形状は実機にて使用され,湯面変動や偏流解消の低減などの効果が確認された。
モールドパウダーの溶融性状評価方法の開発と形状の影響
伊藤純哉,山﨑 聡
<要約>
鋼の連続鋳造に適用されるモールドパウダーは溶鋼から加熱されて溶融し消費される。モールドパウダーは水冷モールド内において溶鋼からの加熱と冷却を同時に受けることから,溶融特性が適合しない場合はモールド壁面にスラグベアと呼ばれる焼結から半溶融状態の塊が固着し,操業や鋼品質に悪影響を及ぼす。その判定のために新たに実機状況を模擬したスラグベア評価方法を開発し,生成挙動におよぼすモールドパウダー形状の調査を行った。結果,粉末形状と内部に気孔を持つ中空スプレー顆粒は低い生成能を示したが,内部に気孔を持たない攪拌凝集顆粒は生成量と生成速度が明確に大きくなった。
拘束下加熱による熱応力と目地設計の検証
中坊一也,小宅民淳,石原英治
<要約>
耐火物ライニングの設計において,れんがの亀裂,剥離は対策の優先度の高い損傷である。本研究では実炉に即した条件でのせり割れの再現実験,および熱応力の解析を行った。実験および解析結果から,アルミナ質れんがにおける熱応力は,クリープの影響は小さく熱間の弾性率が支配的であることが示された。
製品紹介
環境配慮型セメントロータリーキルン用 Green Refractory
伊賀棒公一
<要約>
リサイクル原料を使用した環境配慮型セメントロータリーキルン用れんがを開発した。従来材質と同等に使用可能であり,これに置き換えることでライフサイクルにおけるCO2の排出削減が可能になる。当社はこのような環境配慮型耐火物をグリーンリフラクトリーと名付け,開発を推進中である。
環境に配慮したリサイクルMgO-Cれんが“Green Refractory”シリーズ
石原英治
<要約>
MgO-Cれんがのリサイクル用途の拡大を目的に,転炉で内張りされた高グレード使用済みれんがを原料として再資源化するプロセスを確立し,得られたリサイクル原料を一定量使用したMgO-Cれんがを開発した。当開発品は当社がGreen Refractoryと名付けて推進を図っている環境配慮型商品の1つであり,各種製鋼炉への適用,拡大により原料製造時のCO2排出量削減効果が期待できる。
急乾燥対応型高耐用吹付け材「SIG(Shinagawa Improved Gunning)」について
小松原清行,西口英邦,山田隆太
<要約>
施工時間の短縮,施工方法の簡便さから,近年は吹付け材の使用量が増加傾向にある。一方で,吹付け材は補修用の材料として使用されることが多く,イニシャル施工で使用可能な高耐用吹付け材が望まれている。そこで,簡易的な乾式吹付け工法を採用し,溶液バインダーをノズル部で混合する吹付け材を開発し,従来の乾式吹付け材と比較して約 2 倍の強度向上と優れた乾燥性を両立することに成功した。
BSSRボード・成形品の紹介
(イソライト工業株式会社)
冨田恭平,上道健太郎,鈴木秀尚
<要約>
労働安全衛生法の改正により,リフラクトリーセラミックファイバー(以下RCFと略す)が改正特定化学物質障害予防規則(以下特化則と略す)の管理第2類物質に指定された,いわゆるRCF規制により,規制対象外であるアルカリアースシリケートウール(以下AESと略す)へ切り替えが進んでいる。
本報では,当社AES「イソウールBSSR」 からなる製品群の中から,BSSRボード・成形品の品質及び用途について紹介する。一部製品では発売当初から原料構成を変更することで品質改良を実施しており,より一層健康安全性の高い製品の提供に努めている。
耐食性を有する耐熱無機塗料「N-TAC-XD1」
(品川ファインセラミックス株式会社)
小引篤次,池田憲司,芳賀円香,吉川正博
<要約>
耐食性を有する耐熱無機塗料N-TAC-XD1は,高温環境においても化学的安定性を維持し,塗膜の劣化がない。この特徴を生かして,金属等の素材表面を無機塗料でコーティングした機械部品を高温腐食環境下で使用することにより,その寿命を改善することが期待されている。本報告では,当社が開発した耐食性耐熱無機塗料の基本的な特性,その効果および適用例について概説する。